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「都市緑地保全法」では、保全地域(第1種)は面積1ha以上であるか、または歴史的に価値のあるみどりであるという条件でしか保全できず、しかも指定すると原則として白治体が買わねばならない。このためにほとんど保全できていない。自治体の中では仙台市や川崎市のようにすぐれた条例をつくっているところもあるが、実際には全面的に活用してみどりは保全されていない。また、松戸市のように地主がクロマツをのこすために自ら規制している例があるが、例外的にすぎない。OECD(国際経済開発協力機構)は、この10年の間、農業補助金を削減して生産を規制するという自由主義的な方向をとってきたが、最近では環境保全のために、農村・農民を保護する政策にかわりつつある。また農村アメニティ(自然保全景観)の重要性を強調し、都市の負担で農村を維持する政策をとりつつある。日本も1994年から、ようやく政府が環境間題から中山間地域を国土保全のために維持したいという政策が出てきたが、まだ不十分である。

 

3.市民運動による里山の保全を

 

里山の保全は、水源の維持、アメニティの享受という点で市民にとって重要な課題であるとともに、今後、国土や地球環境保全のために、まずとりくまねばならぬ課題である。政府は生活大国五ヶ年計画などで、都布近郊の森林保全の目標などをかかげているが、これはボランティアなどNGOの活動と自治体の協力によらねば進まない。今回のシンポジウムでは里山の保全についての都市のボランティアの実践が報告されるが、ヨーロッパとくらべてみて、まだまだいくつか改善されねばならぬ課題がある。その意味で市民農園、市民の森、そして農村と都市との交流について、具体的な内外の経験を紹介し、NGOの今後の活動の方向と自治体改革のあり方をのべたい。

 

 

 

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